マネジメントメッセージ

マネジメント・メッセージ 2012年7月

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<売上をいくら上げても現金が会社に残らない>のは、粗利率が低いせいではない。

しかし、財務がよく分かっていない方々は、<売上をいくら上げても現金が会社に残らない>理由を、粗利率が低いせいだと信じこんでいる。

<売上をいくら上げても現金が会社に残らない>理由は、回収率と支払率のギャップのせいである。
回収率から支払率を引いたパーセンテージに大きなマイナスのギャップがあるから、<売上をいくら上げても現金が会社に残らない>のである。

いくら粗利率の高い商品を高額で売り上げたところで、その商品の仕入先様への支払を現金で行い、お客様からの回収を六ヶ月の手形で行っておれば、会社にお金が残る筈などない。
こんなことは説明しさえすれば、小学生にでも理解できることだ。

成熟期を既に過ぎている私たちの業界は、これからの十年、淘汰の時代に入る。
淘汰されずに生き残るためには、ある程度の規模への拡大が必要だ。
しかし、回収率と支払率に大きなマイナスのギャップがあるなかで、会社が規模の拡大を図ったらどうなるだろう。
答えは簡単だ。
売上が上がれば上がるほど、回収率と支払率のギャップを埋めるために、今よりもさらに借り入れが必要となる。
当然のことながら借り入れが増えれば、金利負担が増え、金利がほんの少し上昇しただけで湯水の如く現金が外に出てゆく。
現在、超低金利であるからピンと来ないかも知れないが、金利が少し上がっただけで、金利の支払いは現在の倍にはなるのだ。

そうならないように、財務に手を打ちながら、規模を拡大してゆくことが、安心安全な経営であることを確信している。
また、このように財務についての考え方を共有することで、売上を伸ばしてゆくお客様を、セールスひとりひとりが間違えないことを期待する。
そのためには営業幹部が、この<売上をいくら上げても現金が会社に残らない>カラクリを完全に理解し、営業の長として自身の価値観にまで高めることが大切だ。