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キュービクルなどの自家用電気工作物を所有している事業者は、重大な事故を防ぐために定期的に点検を実施し、結果を記録・保存することが電気事業法によって義務付けられています。そこで、保安点検の内容やその必要性、さらにその後の対策等について解説します。
月次点検と年次点検
保安点検には、月次点検と年次点検があります。それぞれの基本的な違いを確認しましょう。
月次点検
原則として、毎月1回、運転中の電気工作物の点検および測定を実施し、その結果を記録します(お客様の設備の規模や条件によっては、隔月~6か月に1回の頻度で実施)。
具体的には、配線状況や保安装置の目視による点検、電圧・電力測定による過負荷の有無などを調べます。
年次点検
原則として、毎年1回、電気設備を停電させたうえで電気工作物の状況を点検します(使用している機器の信頼性が高いなどの条件を満たした場合は、3年に1回以上とすることができる)。
具体的には、絶縁抵抗測定や部分放電・温度の測定、接地抵抗測定、各種継電器や遮断器の動作確認等を行います。
保安点検結果と報告書
各機器の点検結果の例
年次点検の結果は、以下のようなイメージで提示されます。下の表の場合は、「進相用コンデンサは早急に機器交換が必要。変圧器と高圧カットアウト・負荷開閉器は更新計画の検討が必要。」、という結果となります。
この点検結果をもとに、各機器の交換の計画を立て、電気工事会社に依頼します。
- ✕不適合 :
- 法令に適合しない、もしくは適合しない恐れあり。
罰則はないが、波及事故防止のため、早急な改修が必要。
- △更新推奨:
- 更新計画検討の必要あり。
点検箇所 | 結果 | |
---|---|---|
引込設備 |
引込線路 |
〇 |
負荷開閉器 |
〇 |
|
高圧キャビネット |
― |
|
受変電設備 |
断路器 |
〇 |
高圧カットアウト負荷開閉器 |
△ |
|
遮断器 |
〇 |
|
計器用変成器 |
〇 |
|
零相変流器 |
― |
|
変圧器 |
△ |
|
進相用コンデンサ |
✕ |
|
直列リアクトル |
― |
|
避雷器 |
― |
|
高圧母線等 |
〇 |
|
保護継電器 |
〇 |
|
指示計器等 |
〇 |
|
表示装置 |
〇 |
|
低圧開閉器 |
〇 |
|
低圧遮断器 |
〇 |
|
低圧配線 |
〇 |
|
接地装置 |
〇 |
|
その他機器 |
〇 |
|
構造物等 |
〇 |
|
その他 |
〇 |
|
配電設備 |
|
〇 |
受変電設備の各機器の耐用年数
設置環境によって異なりますが、各機器の耐用年数・交換推奨年数は以下の通りです。
機器名称 |
耐用年数 |
機器名称 |
耐用年数 |
機器名称 |
耐用年数 |
---|---|---|---|---|---|
高圧気柱開閉器(PAS) |
15年 |
高圧交流負荷開閉器(LBS) |
15年 |
避雷器 |
15年 |
地中線用負荷開閉器(UGS) |
15年 |
遮断器・断路器 |
20年 |
計器用変流器 |
20年 |
高圧ケーブル |
15年 |
コンデンサ |
15年 |
計器用変圧器 |
20年 |
電力ヒューズ |
15年 |
電流計・電圧計 |
20年 |
直流リアクトル |
20年 |
変圧器(トランス) |
20年 |
キュービクル自体 |
20年 |
キュービクルの塗装 |
15年 |
機器の交換を怠って、波及事故を起こした事例
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工場が3時間停電、近隣も1時間停電した波及事故
ある工場で、突然停電が起こり、波及して近隣でも停電が起きたというケースがあります。停電発生後、すぐに原因調査のために技術者を呼んだところ、高圧受電ケーブルの経年劣化による地絡が原因と分かりました。ケーブルは施工から17年が経過しており、地中配管内に水が入り、自然劣化したものと考えられます。
結果として、電気復旧まで近隣は1時間、工場は3時間かかり、大きな損失をもたらしました。
この工場では、再発防止のために、以降、高圧ケーブルの計画的な交換を実施しています。
(出典:「関東保安電気協会」 https://www.ksdh.or.jp/information/troublecase_05.html )
「どすこい!電気ドットコム」の機器交換
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