超高効率変圧器について

  • 超高効率変圧器とは、鉄損や銅損といったエネルギーロスを徹底的に低減した変圧器を言います。従来型の変圧器と比べて省エネ性能が高く、ランニングコスト削減や環境負荷低減に優れています。その鍵を握るのが、アモルファス合金や高性能ケイ素鋼板などの低損失材料や、熱制御技術です。超高効率変圧器は、主に工場、商業施設、医療機関などで導入が進んでいます。日本では1990年代以降、省エネ法の基準エネルギー消費効率の目標基準値が引き上げられるとともに、高効率変圧器のニーズが増加し、特に2000年以降、環境対応製品としての重要性が増し、政府の補助金対象にもなっています。そこで今回は、超高効率変圧器への更新について解説いたします。

超高効率変圧器の導入が拡大している背景

日本では1990年代以降、省エネ法により変圧器のエネルギー消費効率が段階的に強化されてきました。2006年には、省エネ法のトップランナー制度に基づく、油入変圧器の第一次判断基準がスタートしました。この制度に基づき、油入変圧器の省エネ基準が設定され、変圧器の省エネ技術が向上し、トップランナー変圧器が広く普及しました。現在では、一定容量以上の変圧器を新設・更新する際には、省エネ基準に適合した機器を選定することが実質的なスタンダードとなっています。さらに、国や地方自治体による補助金制度の対象としても高効率変圧器は広く採用されており、初期投資負担を軽減しながら導入を進めることが可能です。これにより、多くの工場や施設で超高効率変圧器への更新が進んでいます。

そして、2026年度から適用される新たなトップランナー基準の対象となるのは、主に事業用(産業用)変圧器です。具体的には、「定格一次電圧が600Vを超え7,000V以下」で「交流回路に使用される」変圧器が対象範囲に含まれます。この条件は、工場やビルなどが電力会社から受電する6kV級の高圧配電用変圧器(一次側6,600Vを受電し、二次側へ降圧する変圧器)に該当します。

項目 内容
対象機種 事業用(産業用)変圧器
定格1次変圧 600V超~7,000V以下
用途 交流回路で使用される変圧器
代表的な使用例 高圧受電設備(一次側 6,600V → 二次側降圧)
変圧器の形態 – 油入変圧器(油浸式)
– モールド変圧器(乾式・樹脂絶縁)
相別 単相・三相
容量範囲 – 単相:10~500kVA
– 三相:20~2,000kVA
高圧側電圧の例 6kV または 3kV
低圧側電圧の例 100~600V
該当の目安 一般的な工場・ビルの高圧受電用変圧器の大半が該当

超高効率変圧器と一般変圧器との比較

変圧器には大きく分けて「一般変圧器(従来型)」「乾式変圧器」「油入変圧器」そして「超高効率変圧器」の4つの方式があります。導入先の環境や用途によって適した方式が異なるため、特徴を比較しながら選定することが重要です。一般変圧器は初期費用が安く、広く普及していますが、長期的な視点では電力損失(主に鉄損・銅損)が大きく、ランニングコストがかさむ傾向があります。一方、超高効率変圧器は損失を抑えた設計により、10年~15年の運用で数十万円から数百万円単位の電気代削減が可能です。

項目

一般変圧器

超高効率変圧器

初期費用

◎ 低い

△ 高い(+20~30%)

鉄損・銅損

△ 大きい

◎ 非常に小さい

ランニングコスト

△ 高い

◎ 低い(省エネ)

寿命

△ 標準(20年程度)

◎ 長寿命(25~30年)

メンテナンス

△ 標準的

◎ 発熱少なく保守性良

補助金対象

△ 制限あり

◎ 多くの制度で対象

超高効率変圧器を導入するメリット

超高効率変圧器の導入は、単なる設備更新にとどまらず、企業のコスト構造や環境戦略に大きな効果をもたらします。ここでは、その代表的なメリットを紹介します。

■ ランニングコストの削減

超高効率変圧器の最大の魅力は、電力損失の大幅な削減です。従来型の変圧器に比べて鉄損や銅損といったエネルギーロスが少なく、電力消費量を抑えることができます。これにより、特に稼働時間が長い工場や大型施設では、年間数十万円から数百万円単位の電気代削減が期待できます。

■ メンテナンス頻度の削減

<超高効率変圧器は、内部発熱の抑制や耐久性の向上といった設計上の工夫により、故障リスクが低く、長寿命が特徴です。これにより、定期的な点検や部品交換の頻度が少なくて済み、保守にかかる人件費や作業時間を大幅に軽減することができます。特に保全人員のリソースが限られている中小規模の現場では、大きなメリットとなります。

「どすこい!電気ドットコム」では、確かな技術力と経験を持つスタッフにより、超高効率変圧器の導入を受託しております。お客様のご要望・仕様に合わせた最適な提案いたしますので、ぜひ一度ご相談ください。

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