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入社してちょうど20年になる。
しかしいまだに、部下と噛み合わないようなとき、部下に見当違いな言動があるようなとき、ついつい反発心が出てしまい、なかなかベストな対応ができていない。
過去のトラウマが、「いまここで理解させないと、会社にとってそれは不利益の種になる」と思わせてくるからだ。
過去のトラウマ。
たとえば、セールスがコンプライアンス違反を犯し、そのお客様の購買課から呼びだしがあり、取引停止の可能性を示唆されてしまったことがある。
そのお客様には以前から、コンプライアンス違反について厳格に対処される風土があった。
それを知っているにも関わらず、彼はそのお客様で、コンプライアンス違反を犯したのである。
現在でも、お恥ずかしい失敗はたくさんある。
失敗をしでかす社員は決まっている。
彼らはおなじお客様でおなじ失敗を繰り返す。
「失敗をする」というよりも、「後回しにしたことを忘れてしまってやらない」というほうが精確な表現か。
そのお客様は私たちの会社をバカ会社だと思われている。
彼ら以外はまともなのだと力説しても、信じてはもらえない。
もちろんそんな力説などしないが。
だがしかし、そろそろ、私は真実に気づかなければならない。
何度言おうがコンプライアンス違反をする者や、何度指導しようが後回しにしたことを忘れてしまってやらない者に、何度も言ったり指導したりすることは無駄なことだったのだ。
それよりも、真実私たちがするべきことは、彼らのアラームになってあげることであり、彼らが後回しにしないように私たちが彼らのドーパミンになってあげ、彼らがそれをやり終えるのを見届けてあげることなのだ。もしくは、彼らの代わりに、彼らがやってくれないことを、私たちがやってあげることなのだ。