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私たちは、神戸から日本のものづくりにお役立ちしていく。
日帰り商圏で大きなビジネスを展開していく。
そうでなければ、全員では、生き残れない。そうでなければ楽しくない。
しかしそうなれれば、私たちにはたくさんの未来がある。
若い頃、今とおなじ産業機器業界の問屋で、営業をしていた。
入社三年目からは、東京都港区や品川区、世田谷区の、いわゆる都心の機械工具商社を担当させてもらった。
大阪から転勤して来て、この都心エリアの担当営業になったとき、大阪との違いはなにが一番だったのかというと、一回の発注金額の大きさだった。
額がまるひとつ違ったのだ。
都心の機械工具商社は、大きなビジネスを展開していた。
しかし、土地の高い東京に、大きな工場などそんなにあるはずもない。
にもかかわらず、都心の機械工具商社が大きなビジネスを展開できているのには理由があった。
彼らは、毎朝都心から、大渋滞の高速もなんのその、片道二三時間かけて、山梨や群馬や埼玉、茨城といった日帰り商圏にある大手お客様工場に、配達兼営業として出向かれていた。
都心の機械工具商社は、地域密着型営業ではなく、日帰り商圏営業をすることで、大手ユーザーへのビジネスを展開していたのだ。
移動距離と利益の法則にもあるように、移動距離の長いビジネスは利益が大きい。
移動距離が長ければコストがかかる。時間がとられるから、生産性も悪くなる。
しかしそれが体感出来ているぶん、利益の大きなビジネスにアンテナが張り、そういった商談をキャッチできる。
そういった商談とは、商談のなかで売価が決まっていくビジネスのことだ。
商談のなかで売価が決まっていくビジネスは、利益が大きい。
利益が大きいとは、暴利がとれるという意味ではない。
商談のなかで売価が決まっていくようなビジネスは、そもそも売価が大きい。その売価に連動して利益も大きいのだ。
移動距離と利益の法則、この法則が嘘だとしたら、都心の機械工具商社は、土地建物や人件費の高い都心から、コストと時間を使って遠方のお客様に日帰り商圏営業をかけられるはずがない。
世界をまたにかける総合商社の売上や利益がとてつもなく大きいことも、この法則のひとつの証だ。
いま私たちも、このような営業スタイルを、生き残るための手段として目指している。
地域密着型の物販営業は、もはやネットの独壇場だ。少々高くても、お客様はネットで必要なものを買うご時世なのだ。
地域密着型の物販営業は、今後ますますネットに取って替わられて、人間がする仕事ではなくなっていく。
これはもはや確定した未来だ。
人が人と決めていくビジネスのみが、未来、人間がしている唯一の仕事になるだろう。
人間がする仕事は、商談のなかで売価が決まっていくビジネスだけになっていくであろうことに、異論を唱えるひとは少ないのではないか。
私たちは、神戸から日本のものづくりにお役立ちしていく。
都心の機械工具商社のように、日帰り商圏で大きなビジネスを展開していく。
そうでなければ、全員では、生き残れない。そうでなければ楽しくない。
しかしそうなれれば、私たちにはたくさんの未来がある。