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「離婚した社員に毎月二万六千円を、その社員のこどもが20歳になるまで養育費の補助として支給している」と言って、社外のかたに驚かれたことがある。
「それがちいさな会社の良いところだから」と言うと、そのかたはさらに驚かれていた。
わたしはお人好しではない。
どちらかと言うと算盤勘定でうごくほうだ。
また、毎月養育費の補助を支給している社員に、「感謝していると言え」などと強要したこともない。
お金なんてものは、一度もらえば既得権にしか感じられなくなるから、そんなことを強要しても意味がないからだ。
わたしが思う「ちいさな会社の良いところ」とは、「おおきな会社には出来ないことをしたい。変わったことがしたい」、そういうことだ。
それがちいさな会社が生き残る術だからだ。
変化することが生き残る唯一無二の術であることは、歴史が証明している。
おおきな会社は変化することができない。
おおきな会社に成れた成功要因を、みずから否定することは難しいからだ。
また、おおきな会社がする決定は、だいたいが多数決だ。
しかし、変化が、多数決で決まるようなことはない。
一方で、ちいさな会社は、経営者の思いひとつで変化することができる。
そこには多数決はない。
たいして成功もしていないようなちいさな会社が、変化することに怖じ気づいているようでは、会社は終わっている。
変化することが成功に結びつくとは限らないが、変化することは生き残ることには結びつく。
わたしは、生き残るために変化したい、ただそれだけだ。