人生や仕事がうまくいくには、感謝と労いを相手に表明していくことが大切であるという真理は、返報性の法則とはまったく関係がない。
「相手から受けた施しに対して、今度はこちらがお返しをしたい 」というのが返報性の法則だが、この世の中、「今度はこちらがお返しをしたい」と思うひとばかりではない。
世の中には、相手からの施しに気づく能力が低いひとがいるのである。
そのようなひとがいるかぎり、返報性の法則など成り立とうはずがない。

人生や仕事がうまくいくには、感謝と労いを相手に表明していく必要がある。
主体である私たちが、他者が心や体や時間をじぶんのために使って施してくれていることに気づけるかどうか。
それに気づくためには、主体である私たちが、普段から他者に、心や体や時間を使って施していることが必要だ。
じぶんがいつも他者に施しているからこそ、他者からの施しにも気づけ、相手に感謝と労いを表明できるのである。

いつも他者に施しているひとの人生や仕事が、うまくいかないはずがない。
自明之理である。
このカラクリを、私たちは体現していく。
主体である私たちが、普段から他者に施していくことで、他者がじぶんに施してくれていることに、もっともっと気づける人間になるのだ。
朝起きてから寝るまで、ずうっと、「ありがとう。ありがとう」と周りに感謝と労いを表明していける人間になるのだ。