マネジメントメッセージ

マネジメント・メッセージ 2021年5月(2/9)

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昔おられたナガレモノの処理しか出来ないセールスたちには、たくさんの『戒め』と『未来へのヒント』をいただいた。

まず、『戒め』について書いていこう。
現在の幹部社員が新入社員の頃、彼がわたしにこんなことを言った。
「ナガレモノの処理しか出来ないあのひとたちが、なんであんなに偉そうに出来るのかが分かりましたよ!」
わたしが、「売上だけは高いけど実力じゃないから、空威張りしてるんだろ」と吐き捨てるように言うと、彼は「もちろんそうなんですけど」と話を続けた。
「うちの会社って、お客様も仕入先様も、一部上場企業が多いじゃないですか。あのひとたちはじぶんも一部上場企業の社員だと思い込んでいるんですよ」
「そんな勘違いするかな?」とは思ったが、今思い返すとそうだったのかも知れない。
これは貴重な『戒め』だ。
わたしたちは、そんな恥ずかしい勘違いをしてはならない。
わたしたちは上場企業のお客様と仕入先様のあいだに漂う小舟なのだ。

また、『戒め』とは別に、『未来へのヒント』もいただいた。
ナガレモノの処理しか出来ないセールスたちの売上は高かった。ナガレモノの処理しか出来ないのに、だ。
わたしはそこに『未来へのヒント』を得ていた。
彼らが何故、実力もないのに売上が高かったのか。
その理由は、ナガレモノの商権を大事に守ってくれていたメーカーの営業マンたちがいたことにある。
メーカーの営業マンたちは週に一回どころか、毎日のようにお客様に同行してくれていた。
これが『未来へのヒント』だ。
実力のないセールスでも、お客様のニーズに合ったメーカーと同行することで、売上を維持することが出来るのである。
ということは、お客様のニーズに合ったメーカーを選定さえしてあげれば、少々実力の低いセールスであろうが、彼がたとえば嘘ばかりついて他者とまともなコミュニケーションがとれない人でもない限り、なんでも後回しにしてしまう幼稚な性格でもない限り、セールスとして充分なパフォーマンスが出来るのだ。
これは貴重な『未来へのヒント』だ。
会社がお客様から案件をいただける仕組みをつくり、役職者がその案件に適したメーカーを選定さえしてあげれば、少々実力がなくても部下たちは、セールスとして充分なパフォーマンスが出来るのである。