教育訓練レポート

教育訓練レポート『夜の雪』(萩原 さゆり)

教育訓練レポート 一覧へ

おしづは元雪駄問屋の娘で26歳の独身女性である。8年前に父親が他界し、祖父が使っていた隠居所に母親のおたつと2人で暮らしている。政右衛門が持ちかけて来た縁談話を他人事のように上の空で聞き流し、気が乗らないでいる。政右衛門が数年に渡り持って来た縁談を、おしづは何度も断り続けているのである。おしづは、元奉公人の18歳の頃からの想い人である同じ年の新蔵という少年のことが忘れられないでいた。おしづは、現れもしない新蔵の帰りを、いつかは自分の目の前に現れるのではないかと僅かな希望を胸に、来る日も来る日も待ち続けているのであった。